特定非営利活動法人
日本なわとびプロジェクト

NEWS

ニュース
COLUMN

(4)トレーニングの「3つの原理」

 なわとびをするには体力がいります。長く跳び続けるための持久力、高く跳び上がるための筋力、体を素早く動かすための瞬発力など、なわとびをするにはいろいろな体力が必要です。こういった体力は、自然につくのではありません。トレーニングを行うことによって、はじめて体力は獲得されるのです。

 アスリートたちは、トレーニングの専門家の指導でトレーニングを行います。トレーニングの専門家がなぜ必要かというと、トレーニングは正しく行えば体力を高められますが、誤った方法で行うと疲労、けが、病気などを起こさせることがあるからです。

 トレーニングのことをよく知っている人がいたら、その人の指導でトレーニングするのがよいでしょう。でも、まわりにトレーニングの専門家が見当たらないときは、トレーニングの「3つの原理」のことをよく理解してトレーニングを行うようにします。「3つの原理」を守るだけでも、トレーニングを安全で効果的なものにすることができます。

 トレーニングの「3つの原理」とは、図に示したように「過負荷の原理」、「可逆性の原理」、「特異性の原理」のことです。それぞれの原理をよく理解し、練習やトレーニングを行うときの参考にしましょう。



●過負荷の原理

「オーバーロードの原理」と呼ばれることもあります。 ある負荷強度でトレーニングを続けたところ、体力は高まってきたとしましょう。その後、同じ負荷強度でトレーニングを続けると体力は向上しなくなります。体がその負荷強度に慣れてしまったからです。体力が向上したら、それに合わせて負荷強度を高めていかないと運動効果は現れないのです。

 「過負荷の原理」とは「現在の能力よりも大きめの負荷強度(過負荷)を利用しなければ運動効果は現れない」ということです。

 現在の負荷強度が楽に感じるようになったら、負荷強度を「少しつらい」と感じる程度に高めます。負荷強度を急激に高めるのは危険です。あせらず、じょじょに高めていきましょう。


●可逆性の原理

トレーニングを続けていると、体力はしだいに向上します。ところが、ケガなどでトレーニングを中断すると、体力はだんだん低下していきます。トレーニングによって得られた効果は、トレーニングを止めると失われるのです。これをトレーニングの「可逆性の原理」といいます。

 トレーニングを止めると体力は低下していきますが、その速さはトレーニング期間によって異なります。トレーニング期間が短いと、トレーニングを止めた後、すぐ元の体力に戻ります。トレーニング期間が長いと、トレーニングを止めても体力はすぐに元の状態に戻りません。しかし、トレーニング期間が長くても、トレーニングを止めた期間が長くなれば、体力は元に戻ります。

 トレーニングによって獲得した体力を維持・増進するには、週に3~5回のトレーニングを続けることが必要となります。


●特異性の原理

ジョギングを続けていると持久力が高まります。筋トレを継続すると筋力が増大します。ストレッチングを行うことが習慣になると、関節の可動域(関節が動く範囲)が広くなります。このように、トレーニングで行う運動によって、獲得される運動効果は異なるのです。これがトレーニングの「特異性の原理」です。

 どんな体力を高めたいのかを決めたら、その体力を高めるのに効果のある運動を行わなければいけません。誤った運動を行うと、期待する効果が得られないことになります。高めたい体力に合った運動をまとめると次のようになります。


湯浅景元(中京大学名誉教授)



BACK TO NEWS