スポーツが上手になるには、姿勢維持筋を鍛えておかなければいけません。姿勢維持筋とは、安定した姿勢を保たせる筋肉です。
主な姿勢維持筋を示した図を見てください。この図から分かるように、姿勢を維持するための筋肉は体の前後についています。こういった筋肉の働きで、私たちの体は安定した姿勢を保つことができるのです。
それぞれの姿勢維持筋がついている場所と働きを紹介します。
①僧帽筋(そうぼうきん)肩にある筋肉です。頭が前に倒れないように、頭を引き起こす働きがあります。
②胸鎖乳突筋(きょうさにゅうとつきん)
首の前にある筋肉です。頭がうしろに倒れないように、頭を前に回転させる働きがあります。
③脊柱起立筋(せきちゅうきりつきん)
背骨についている筋肉です。背骨をまっすぐに立てる働きをします。
④腹直筋(ふくちょっきん)
お腹についている筋肉です。上半身を前に倒す働きがあります。
⑤大殿筋(だいでんきん)
お尻についている筋肉です。上体を引き起こし前に倒れるのを防ぐ働きがあります。
⑥ハムストリングス
太もものうしろにある筋肉です。ひざを曲げる働きがあります。
⑦大腿四頭筋(だいたいしとうきん)
太ももの前にある筋肉です。ひざを伸ばす働きをします。
⑧下腿三頭筋(かたいさんとうきん)
ふくらはぎにある筋肉です。足首を伸ばすこととひざを曲げる働きがあります。
⑨前脛骨筋(ぜんけいこつきん)
すねにある筋肉です。足首を曲げてつま先をすねに引き寄せる働きをします。
姿勢維持筋のそれぞれの働きを見て、気づきましたか?体の前後にある筋肉が一組になって姿勢を安定させているのです。
頭を安定させるには、僧帽筋と胸鎖乳突筋を働かせます。頭が前に倒れすぎると僧帽筋が働いて頭を起こさせます。頭がうしろへ倒れすぎれば、胸鎖乳突筋により頭を前に回します。同様に、上半身を安定させたいときは、脊柱起立筋・大殿筋と腹直筋をつかいます。下半身を安定させるにはハムとリングス・下腿三頭筋と大腿四頭筋・前脛骨筋を活動させます。
姿勢維持筋は、なわとびをするだけでは十分に鍛えることはできません。安定した姿勢でなわとびをするには、姿勢維持筋を強化するトレーニングを行うことが必要です。次回から、姿勢維持筋を強化するトレーニング方法を紹介します。
湯浅景元(中京大学名誉教授)