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(5)トレーニングの「5つの原則」

 トレーニングの効果を出すには、守らないといけない5つの行動があります。それを「トレーニングの5原則」と言います。5つの原則について説明しましょう。


全面性の原則

 なわとびを毎日続けていると、持久力がついて疲れにくくなります。でも、なわとびだけだと、柔軟性はあまりよくなりません。そのために、跳びそこねたときアキレス腱や筋肉が十分に伸びないためにケガをすることがあります。体が硬いと技術レベルを高めることも難しくなります。このように、偏ったトレーニングはケガや技術低下につながることになります。

 トレーニングを行うときは、さまざまな体力をバランスよく鍛えることが大切なのです。これを「全面性の原則」といいます。


漸進性の原則

 50キロの重りを5回持ち上げるトレーニングをするとしましょう。初めてのとき、5回持ち上げるのが限界でした。ところが、トレーニングを続けるうちに、楽に5回持ち上げられるようになります。筋力がついたからです。ここで注意しなければいけないことは、楽に持ち上げられるトレーニングを続けても筋力はそれ以上に強くならないということです。筋力をさらに強くするには、負荷強度を上げないといけません。

 トレーニングを行うときは、体力の向上に合わせて負荷強度を徐々に上げていくことが必要です。これを「漸進性の原則」といいます。


反復性の原則

 かつて「ベッドレストの研究」が行われました。健康な人を数週間、ベッドで安静の状態を続けさせる研究です。その結果どうなったかというと、筋肉はやせ細って弱くなりました。その後、筋肉を鍛えるトレーニングを行わせると、筋肉は元の状態に戻りました。この研究から分かることは、筋肉は適度に使えば発達するが、使わなければ弱くなるということです。筋肉だけではありません。心臓血管などの循環器も、肺などの呼吸器も使わなければ衰えるのです。

 体力を維持させる、あるいは向上させるには、トレーニングを反復(すなわち継続)することが大切なのです。これを「反復性の原則」といいます。


個別性の原則

 トレーニングの強度が強すぎるとケガをしたり、病気になったりすることがあります。とはいっても、強度が軽すぎるとトレーニングの効果は現れません。トレーニングの強度は適度であることが大切なのです。ところが、体力は年齢、男女、運動経験、性格などによって異なります。すべての人が同じ体力なら同じ強度を用いることができます、しかし、人によって体力が違うときは、その人に合った強度でトレーニングすることを忘れてはいけません。

 すなわち、トレーニングは個人に合った方法で行うことがたいせつです。これを「個別性の原則」といいます。


意識性の原則

 指導者から「このトレーニングをせよ」と命令されました。何も考えず、命令通りにトレーニングを行いました。でも、トレーニングの効果はあまり現れませんでした。なぜでしょう?それは、意識の持ち方によってトレーニングの効果が変わるからです。もし、指導者から命令された運動の内容、目的をよく理解し、積極的にトレーニングに取り組むと、トレーニングの効果は高まります。トレーニング中、体のどの部位を鍛えているのかを意識しながら運動すれば、効果はさらに向上します。

 トレーニングをするときの意識の持ち方でトレーニング効果はかわるのです。これを「意識性の原則」といいます。


湯浅景元(中京大学名誉教授)



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