それは、膝や腰の曲げ伸ばしをほとんど行わない動きです。膝や腰の曲げ伸ばしが大きいと、それだけジャンプのための時間が長くなります。ジャンプのための時間が長いほど、なわとびを素早く繰り返すことはできなくなります。
膝や腰の曲げ伸ばしが行われないのに、なぜジャンプすることができるのでしょうか。その秘密は、アキレス腱にあります。
素早く連続ジャンプするとき、足裏全体で着地しません。つま先で着地します。つま先で着地すると同時に、かかとはわずかに地面の方へ落ちます。膝と腰はほとんど動いていないので、かかとが地面の方へ落ちると、アキレス腱は伸ばされます(図1)。
図1 つま先着地後にかかとを落とすことでアキレス腱は伸びる
アキレス腱は、ゴムひものような性質を持っています。ゴムひもを伸ばして放すと、勢いよく縮みます。この性質を弾力性といいます。アキレス腱には弾力性が備わっています。そのおかげで、伸ばされたアキレス腱も伸びた状態から放たれると勢いよく縮みます。この縮む力を利用してジャンプをするのです。
アキレス腱の弾力性は強いので、ほんの少し伸ばすだけでもおおきな力が生まれます。アキレス腱をほんの少し伸ばすだけでよいわけですから、アキレス腱の伸び縮みの時間は短くてすみます。したがって、素早い連続ジャンプではアキレス腱を利用するのが良いことになります。
アキレス腱の弾力性を高めるには、アキレス腱を強くすることと柔らかくすることが必要です。
アキレス腱を強くするのは、なわとびを素早く繰り返すことを練習に取り入れればよいでしょう。これだけでもアキレス腱を強化する効果が期待できます。
アキレス腱を柔らかくするには、アキレス腱を伸ばすストレッチングを行います。代表的なアキレス腱のストレッチングを紹介します。
①両足を前後に大きく開く。
②腰に両手を当ててバランスをとる。
③前側の膝を曲げる。うしろ側の膝は伸ばしておく。足裏は床に着けておく。
④前の膝を前方へ押し出すようにする。こうすると、うしろ側のアキレス腱はよく伸びる。
⑤アキレス腱を十分に伸ばしたら、その状態を20秒間続ける。
⑥左右それぞれ、3~5回繰り返す。
湯浅景元(中京大学名誉教授)